プロが教える浴室蛇口の水漏れの直し方

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浴室はもともと水びたしになる部屋ですから、多少蛇口から水漏れしていても気にならないかもしれません。しかし毎日ちょろちょろと吐水口や蛇口本体の隙間から水が漏れているのを目にするのは精神衛生上よくありませんよね。また、ちょろちょろとした水漏れであっても、長い目で見ると余計に支払う水道代も馬鹿になりません。ここでは浴室の蛇口からの水漏れについて、代表的な水栓の種類ごとに部品交換で修理する方法、本体ごと交換する方法を解説しています。ぜひ参考にしてください。

「浴室蛇口から水漏れする」「シャワーヘッドの先から水がポタポタと水が止まらない」「蛇口のカランから水がぽたぽたと垂れている」「蛇口本体と壁の間から水がもれている」などが浴室での水漏れの代表的な事例でしょう。

浴室蛇口の寿命、交換時期

浴室の蛇口も施工してから長い年月が経過すると水漏れが起きます。今自宅の浴室に設置されている蛇口は、何年くらい前に施工されたものでしょうか。水漏れが起こる原因は経年劣化ですので、使用する頻度にもよりますが浴室の蛇口は一般的に10年~15年が寿命と言われています。もちろん個体差や使用状況によって20年以上何のトラブルもなく使えているケースもありますが、一般論としては10年~15年と覚えておくとよいでしょう。実際浴室の蛇口からの水漏れで対応するお客様宅の蛇口は、施工から10年~15年ということが非常に多いのです。

賃貸物件にお住まいの方であれば管理会社や大家さんに不具合を報告して修理してもらうこともできますが、持ち家の場合は自分で修理するか修理業者に依頼するしかありません。もし浴室の蛇口の水漏れが気になり始めているようであれば、道具とパーツを揃えて自分で直してみるのもよいでしょう。浴室の蛇口に限らず水まわりはなかなか自分で手を出しづらい部分ではありますが、一度自分でやってみるといろいろなことが分かります。ここでは浴室蛇口種類ごとに、部品の交換で済ます方法、蛇口本体を交換する方法を解説しますので、ぜひ参考にしてください。

浴室蛇口の種類

浴室蛇口にもいろいろな種類があり、タイプによって作業内容や必要工具、部品が異なります。代表的な蛇口からご紹介していきましょう。浴室で使われる代表的な水栓のタイプは、以下の3タイプです。実質サーモスタット混合水栓とツーハンドル混合水栓の2種類なのですが、ツーハンドル混合水栓は浴槽の横に置かれる形で固定されていることがあります。その場合はメンテナンス性が異なるため、分けて解説します。

  • サーモスタット混合水栓
  • ツーハンドル混合水栓
  • 浴槽の横に乗っているツーハンドル混合水栓

サーモスタット混合栓

サーモスタット混合栓とは、温度調節ハンドルが付いていて、温度を設定すればサーモスタットカートリッジの働きでお湯の量を自動的に調節して調節してくれます。温度調節ハンドルで設定した温度から熱くなったり、冷たくなったりすることがなく、一定の温度のお湯が得られる蛇口のことです。

サーモスタット混合栓の特徴

蛇口の形は向かってTの字に見えると思います。右側のレバーを回すと水が出ます。レバーを手前に倒すとカランから水が出て、奥に倒すとシャワーから水が出るのが一般的です。カランとシャワーの切り替えレバーが蛇口中央に設置されている場合もあります。カランとシャワーの切り替えレバーはメーカーによって異なります。左側のレバーは温度調整用になっていることが一般的です。

サーモスタット混合栓は、蛇口本体の中にその名の通り「サーモスタットカートリッジ」という部品が入っています。このサーモスタットカートリッジがサーモスタット混合栓の生命線であり、メンテナンス性の悪さという意味では弱点でもあります。サーモスタット混合栓で水漏れが起きている場合、このサーモスタッドカートリッジを交換すれば直ります。

しかしトラブルが出始める10年~15年間使い続けてきたサーモスタット混合栓のカートリッジは既に生産されていないことも多々あります。在庫が残っていても取り寄せるのに時間がかかったり、値が張ったりすることが多いため結果的には蛇口(混合栓)本体を丸ごと交換することがほとんどです。

サーモスタットカートリッジの交換方法

サーモスタットカートリッジの交換方法を解説します。

必要となる道具

サーモスタットカートリッジの交換に必要となるのは、以下の工具です。

  • プラスドライバー
  • マイナスドライバー
  • ペンチ

交換の手順

  1. まずは屋外に設置されている水道の元栓を閉めましょう。通常メーターボックス内に止水栓のバルブがあります。止水栓は浴室蛇口本体にも付いている事もあります。止水栓の開け方、閉め方については「止水栓の開け方、閉め方、調整方法」を参考にしてください。
  2. サーモスタットのカートリッジを交換するには蛇口の右側と左側にあるレバーを外します。レバーにはキャップがあり、マイナスドライバーなどをキャップのすき間に入れて持ち上げると外すことができます。
  3. キャップが外れると中にネジが見えます。このネジを左右とも外します。するとサーモスタットカートリッジが中に見えます。これをペンチなどで回し、引き抜けば取り外し出来ます。新しいカートリッジを差し込み、分解したのと逆の手順で組みなおせば交換完了です。
  4. 水道の元栓を開けて吐水、止水をしてみて水漏れがおさまったことを確認しましょう。

サーモスタット混合栓本体ごと交換する方法

サーモスタットカートリッジが手に入らない場合や、本体が既に古く本体ごと交換した方が経済的だと判断できる場合などは、サーモスタット混合栓本体を交換することになります。サーモスタット混合栓で水漏れが起き始めた場合は、ほとんどのケースで本体ごと交換することになります。水栓のメーカーでさえ、「カートリッジのみ交換してもすぐに別の部分からの水漏れなどのトラブルが起き始める」という問題を憂慮しており、カートリッジのみの交換を推奨していないのが現状です。

必要となる道具

サーモスタット混合栓の本体交換に必要となるのは以下の工具です。

  • モンキーレンチ
  • シールテープ
シールテープとは

サーモスタットカートリッジのみの交換では使わなかったシールテープが必要になります。シールテープは水道管や空気管、また油圧の配管など、配管の接続部分にどうしても生まれるすき間を埋めるために使用されるシール材です。 配管の接続部分には互いにねじ状になっていますが、かみ合わせの部分にすき間がうまれます。特に何度も締めたり緩めたりをしているうちに摩耗してすき間は広がります。そのままその配管を使うと接続部分から水が漏れます。そのすき間を埋める役割を果たすのがシールテープです。

シールテープは水道工事、水まわりの修繕には必須アイテムのひとつです。ホームセンターなどで100円程度から売られていますので、ぜひ手元に常備しておきましょう。

シールテープの巻き方

シールテープをパイプのネジ山に使用する場合の巻き方ですが、まずシールテープを巻きたいネジ山にテープをのせます。ポイントは時計回りにテープを巻くことです。パイプをねじりながら接続するときに、シールが緩む方向に巻かれていると十分に効果を発揮できないためです。また巻くときには包帯を巻く様に少し引っ張り、圧力をかけながら、負荷をかけながら巻いていきます。7~10回転巻きます。巻き終わりは強く引っ張りながら巻きつけるとフィットします。

本体交換の手順

  1. まず止水栓を閉めて給水を止めます。屋外のメーターボックス内のバルブを回します。止水栓の閉め方、開け方については「止水栓の開け方、閉め方、調整方法」を参考にしてください。
  2. 次にサーモスタット混合栓本体を外します。サーモスタット混合栓本体の背中側にハの字になっている金具があります。この金具を偏心管と呼びます。この金具を反時計回りに回転させて行くと外せます。偏心管は基本的には素手で回すことができます。もし固着していて回らない場合はモンキーレンチで偏心管を挟んで回しましょう。 偏心管が外れたら壁に穴があいてる状態でネジ山がある金具があります。この金具をブッシングと言います。ブッシングのネジ山に古いシールテープが残っていたらキレイに取り除きます。
  3. 次に新しいサーモスタット混合栓本体を取り付けます。新しいサーモスタット混合栓本体の偏心管のネジ山にシールテープを巻きます。シールテープを巻く前にキャップを忘れずに取り付けましょう。キャップを付けた上でシールテープを巻きます。時計回りに少し負荷を掛けながら引っ張る様にして巻きます。7から10回転巻きます。2本とも巻いたら壁にあるブッシングに接続させます。ネジ山に合わせて時計回りに回転させます。この時に何回転させたか覚えておきましょう。右側と左側の偏心管が水平になることが大切です。壁に取り付けた偏心管をハの字にして蛇口本体と偏心管の間にパッキンをかませ、ナットをモンキーレンチで左右均等に締めていきます。これで取り付け完了です。
  4. 最後に止水栓を開けて水漏れがないか確認しましょう。

ツーハンドル混合栓

ツーハンドル混合栓には2つのハンドルがついています。2つのハンドルの回し具合によって、温度の調整や吐水、止水を行います。止水している状態ではスピンドルがこまを押さえています。ハンドルを開ける方向に回すとスピンドルが上がり、こまが水圧で持ち上がり吐水する仕組みになっています。

ツーハンドル混合栓の部品交換手順

浴室のツーハンドル混合栓の症状ごとの修理方法は、洗面台の蛇口の直し方と同じですので「プロが教える洗面台の水漏れの直し方」も参考にしてください。

  1. まずは止水栓を閉じて止水しましょう。屋外のメーターボックス内のバルブを最後までしっかり締めてください。時計回りにまわすことで止水できます。止水栓の開け方、閉め方については「止水栓の開け方、閉め方、調整方法」も参考にしてください。
  2. 次に蛇口のハンドルを外しましょう。蛇口に向かって右側のハンドルが水のハンドルです。ハンドルの中央には青いビスがあります。これを色ビスと呼びます。蛇口に向かって左側のハンドルがお湯のハンドルです。ハンドルの中央には赤いのビスがあります。このビスがキャブになっています。すき間にマイナスドライバーなどを引っかけて取り外しましょう。色ビスを外すと真ん中にネジが見えます。通常プラスドライバーで回すタイプが多いです。片手でしっかりハンドルを押さえながら、反時計回りに回転させてボルトが外れたらハンドルを持ち上げるとハンドルが外れます。
  3. ハンドルを外すと金具が見えます。この金具をスピンドルと言います。金具の根元あたりから反時計回りにペンチで摘んで回すとスピンドルは外れます。
  4. スピンドルが外れたら中にピンが立っているのが見えるはずです。このピンは摘んで持ち上げて取り除けます。コマのような形をしていることからコマ、コマパッキンと呼ばれています。ここまでに分解してきたパーツは、全てセットになってホームセンターなどで売られています。色ビス、ハンドル、スピンドル、コマを新しいものに交換し、分解したのと逆の手順で元に戻しましょう。なお、組み立てる時にスピンドルをあまり強く締めすぎるとハンドルを回した時に硬くて回し難くなります。適度な強さでスピンドルを締める必要があります。上手く調整しながら組み立てましょう。

ツーハンドル混合水栓を本体ごと交換する方法

ツーハンドル混合水栓を本体ごと交換する手順は、サーモスタット混合水栓の本体交換方法と全く同様に行えます。

ツーハンドル混合水栓が浴槽の横に乗っている場合

浴室の蛇口本体が浴槽の横に乗っているタイプがあります。この蛇口の水漏れを部品交換で直す方法は、先ほどご紹介したツーハンドル混合栓と全く同じです。ハンドルを外しスピンドルやコマを交換すれば水漏れは直ります。また蛇口本体と偏心管の間の水漏れも同じで、蛇口を外し偏心管と蛇口の間にあるパッキンを交換すれば水漏れが直ります。

ツーハンドル混合水栓本体の交換方法

  1. ツーハンドル混合水栓本体が浴槽の横に乗って固定されているタイプは、蛇口の下に点検口があるはずです。点検口のネジを外せば点検口のふたが外せますので内部を確認しましょう。この時に点検口の周りにコーキングが施してある場合があります。その場合はコーキングをカッターナイフなどで切れ目を入れて取り除きます。作業を終えたら点検口のふたを元に戻し、コーキングを施します。コーキングとは、気密性や防水性を保つためにパーツとパーツの隙間を目地材などで埋めることです。 目地材そのもののことはコーク剤、コーキング材などと呼びます。
  2. 点検口のふたを外せたら点検口の中を確認します。ツーハンドル混合水栓の根元から水とお湯の管が接続されています。その根元のナットをモンキーレンチで回して外しましょう。なかなか見づらい場所なのである程度は肩手だけで手探りの作業になることが多いです。
  3. ツーハンドル混合水栓本体下のナットを外したら、水とお湯の管が接続されています。途中にナットネジがあります。これも回して外したら上から蛇口を引っ張れば蛇口を外せます。
  4. 新しいツーハンドル混合水栓を元の位置に合わせて手順通りに組み立てていけば取り付け出来ます。

本体交換時の注意点

自分で蛇口本体を交換する時の注意点は、適合する蛇口本体を選ぶことです。蛇口本体にはたくさんの種類があります。蛇口を外したら穴が2つありますが、この穴の幅が異なる蛇口本体を購入してしまうと、当然設置することができません。またカランの位置も既に設置されているものと同様のタイプを選べば間違いないでしょう。

浴室の蛇口水漏れ修理法のまとめ

日曜大工の中でも敬遠されがちな水まわりの修理ですが、思いのほか工具や部品がそれほど必要ないと感じていただけたのではないでしょうか。事前に十分に設置されている水栓のタイプを把握し、適合する水栓を購入することができれば自力で交換することもそれほど難しいことではありません。パッキン交換などはドライバーと部品だけあればできてしまうでしょう。慎重さは失わないように気をつけつつ、思い切ってトライしてみるのもよいでしょう。

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